訓練場の扉を蹴っ飛ばして、羽久が乱入してきた。

羽久だけじゃない。

シュニィちゃん、アトラス君、吐月君にクュルナちゃん。

ジュリス君や、無闇君まで来ていた。

更に。

「…私、必要?」

実はちゃっかり合宿に参加していたベリクリーデちゃんまでもが、訓練場に乱入してきていた。

ようこそオールスター。

羽久が、皆を呼んでくれたのだ。

このピンチに太刀打ちする為には、皆を集めるしかないと思ったから。

「ちっ…。お前ら、人質がいることを分かってるのか」

「あ?お前こそ、この人数差を分かってるのか」

逆に脅しをかける羽久である。

ずっと蚊帳の外にされていたのが、気に入らないご様子。

「人質を解放して、大人しく本に戻るんだな」

「…くそっ」

ヴォイドは、さすがにこの人数差では敵わないと思ったのか。逃げる素振りを見せた。

しかし、そうは行かない。

「…イレースちゃんを拐かした(かどわかした)報いだ」

当然、逃がす私と羽久ではない。

羽久が時間を止め、そして…私が、渾身の魔力をヴォイドに叩き込んだ。