私の脳裏に、幸せな頃の記憶が蘇った。

私はかつて、幸せな子供だった。

魔法のこととか、世界のこととか、『禁忌の黒魔導書』のことなんて、何一つ関わりのない生活をしていた。

兄弟はいなかったけど、私には両親がいた。

大好きな両親だった。

私は、両親が結ばれてから十年以上たって初めて生まれた、待望の子だった。

それだけに、両親から大事にされて、甘やかされて育った。

両親は私を愛してくれた。

私も、そんな両親のことが大好きだった。

私は幸せな子供だった。

何一つ不自由しない、愛情に溢れた子供だった。

それなのに。

それなのに。

幸せな子供だった私の幸せは、ある日突然に奪われた。

あまりにも理不尽に。

だから私は、世界を変えようと思ったのだ。