「…それは、イレースちゃんの意思?それともそこの禁書…」

「彼はヴォイドです」

「ヴォイドの意思?」

「私の意思であり、ヴォイドの意思でもあります」

そう。だろうね。

禁書はもとより、私が邪魔なんだろうから。

お互い様なんだけど。

「分かってるの?イレースちゃん。そこの禁書の目的は、世界に禍なる者を復活させて世界を混沌に陥らせることなんだ。それに荷担して良いの?」

「私に言わせれば、今の世界は既に混沌そのものです」

イレースちゃんは、きっぱりと言った。

「ならば一度リセットして、世界を新たに作り替えた方が良い。世界を変えるんです」

世界を…。

変える…か。

考えたことがない訳じゃない。私だって。

「…何の為に?」

「決まっています。弱者が理不尽に傷つくことのない…平等な世界を作る為です」

それが…イレースちゃんの理由。

彼女の信念。

正しくあること、強くあることに彼女が執拗なまでにこだわるのは、それが理由か。

分からないとは言わない。

むしろ、それが叶うのなら、理想的な世界になるだろうと思う。

…でも。

「…イレースちゃん。それは夢物語だよ」

そんな理想的な世界なんて、何処にもない。

多分、何度世界をやり直しても。