「へ…?何…?」

「…イレースが立て籠った」

「…??」

「…しっかりしろや、このへっぽこ学院長!」

「あぁぁあぶなっ!」

羽久の強烈な回し蹴りを、私はすんでのところで避けた。

魔導師相手に、なんて乱暴なことを。

あんなの、当たったら痛いじゃ済まないよ。

危ないところだった。

いや、そんなことより。

「い、イレースちゃんが何だって?」

立て籠った…とか言ってなかった?

「だから、生徒を人質に取って、訓練場に立て籠ってるんだって」

「え…!何でそんなことを?」

「知るかよ!それを聞いてこい!」

あ、そうか。

私が呼ばれてるんだった。

「何の為にそんなことしてるのか知らないけど…とにかくイレースちゃんを止めなきゃ」

イレースちゃんが私を呼んでるなら、私がイレースちゃんを止めないと。