なんという超展開だと思ったかもしれないが、私が一番驚いた。

その日の明け方、自分の教官室でのんびりとベッドに横たわっていたところを、羽久に叩き起こされた。

「起きろシルナ!この馬鹿!おっさん!加齢臭漂わせながら寝てる場合じゃないぞ!起きろ!」

何だか酷いことを言われながら、頭の下の枕を抜き取られ、顔にばふんと投げつけられた。

「あ…。え…?何…?」

でも、人間そう簡単には起きられない。

寝惚けながら半目を開けると。

「お、き、ろって言ってるだろ!」

羽久の力一杯の拳骨が、寝起きの頭に炸裂した。

「いたぁぁぁぁ!」

「起きろ!」

な、なんていう乱暴なことを。

お陰で目は覚めたけど、こんな目覚めは最悪だ。

絶対たんこぶ出来た。今。

「何するの羽久!乱暴!」

「良いから起きろ!惚けた顔してる場合じゃないんだぞ!」

誰が惚けた顔だって?

生まれたときからこんな顔だよ。悪かったね。

「一体どうしたの?」

朝から、そんな血相変えて。

「あの体罰教師イレースが、生徒を人質に訓練場に立て籠って、シルナを出せって言ってるんだよ!」

「…ほぇ…?」

思わず口をあんぐり開けて、ぽかーんとしてしまった。

…羽久あなた、今何て?