本を借りた後。

レティシアちゃんと、ちょっとお喋りした。

「そういえば、知ってますか?ラミッドフルス魔導学院の生徒、先日の試験で20人も退学になったそうですよ」

「えっ」

レティシアちゃんにそんな話を持ちかけられて、私は初めて、事の次第を知った。

…20人退学?

試験で?

一体何事だ、それは。

「うちにもよく通ってきてくれた生徒が退学になったそうで…。今は家に引きこもってるらしいです。図書館にも来れなくなって…」

「そりゃ退学になんかされたら…そうなるでしょ…」

しかも、イーニシュフェルト魔導学院に次ぐ名門校であるラミッドフルス魔導学院をクビになったんでしょう?

下手したら、一生立ち直れないよ。

それが20人も同時に…なんて。

大体、入学してくれた生徒を退学にするなんて、余程のことがない限り、やっちゃいけないことだと思っている。

いや、目の前にイーニシュフェルト魔導学院を退学になったレティシアちゃんがいるのに、何を言ってんだって話だけど。

それはまた別の話であって。

「ラミッドフルス魔導学院は、容赦なく生徒を退学させる、って噂だけど…本当なんだね」

イーニシュフェルト魔導学院では、考えられないことだ。

可哀想に。その退学になった子達、イーニシュフェルト魔導学院に入れてあげたいな。

その子達も、ラミッドフルス魔導学院に合格した以上、並みの才能ではないだろうに。

才能ある魔導師の卵を容赦なく捨てること、惜しくはないのだろうか?

「勇気あるなぁ、ラミッドフルス魔導学院…」

羽久もこの反応である。

「それにしても20人って…いくらなんでも多過ぎるような…」

試験って、半年ごとなんだろう?

半年ごとに生徒を20人も落としてたら、入学してから卒業するまでに、生徒が一人もいなくなってしまうんじゃないのか。

「そうなんです。今回の件は、かなり異例なそうですよ」

と、レティシアちゃん。

異例…。そりゃ20人も退学になるケースが何度もあったら大変だもんね。

「何で今回だけ…?」

「それが、今回の試験監督が、ラミッドフルス魔導学院で一番厳しい教官だったそうで…」

教官が…。

「それで容赦なく落とされたんだね。気の毒に…」

その教官も、もう少し易しくつけてあげれば良いのに。

そのとき偶然調子の悪かった子とか、いただろうに。

本当に可哀想だ。

うちにスカウトしようかな。

今まで何度も思ったことだが、やはり私は、ラミッドフルス魔導学院とは相容れない。

まるで昔の自分の方針を、そのまま表しているかのようで…。