「やぁレティシアちゃん。久し振りだね」

「あ、学院長…。それに、羽久さんも。お久し振りです」

すっかり王立図書館の司書さんが板についたレティシアちゃん。

うんうん。教え子が活躍しているのは嬉しいね。

教師の醍醐味だよ。

「今日は新しい本入ってる?」

「はい、入ってますよ。今持ってきますね」

「ありがとうね~」

司書さんと仲良しだと、こういうとき良いよね。

レティシアちゃんに持ってきてもらった本は、いつも通りとても面白そうだった。

魔導書だけじゃなくて、普通の物語本もある。

詩集や自己啓発本もあるのだが、私は本を選り好みしないタイプなので、どれも楽しく読ませてもらう。

更に、羽久も。

「あ、これ面白そう。シルナより先に俺が読もう」

羽久が、レティシアちゃんの持ってきてくれた新しい魔導書を一冊、手に取った。

あ、それ私も目をつけてたのに~。

まぁ良いや。順番に読もう。

「じゃあ私は先にこっち読むからね」

「好きなの読めば…って、それ恋愛小説じゃん」

タイトルは、『愛と夢のロマンス』。

わぁ。何処からどう見ても恋愛小説。

でも私は本を選り好みしないから。

「良い歳したおっさんが、恋愛小説読むなよ」

「別に良いじゃない、恋愛小説読んでも。私が恋愛小説読んじゃ悪いの?」

「悪くはないけど、気持ち悪くはある」

失礼だと思わない?

何歳になっても、たまにはこう、ロマンスを味わいたいときだってあるでしょ?

こうなったら、意地でもこの本読もう。

そう心に決めた私だった。