「も、もう無理です…。許してください」

「何が無理か。この軟弱者」

私は、泣き言を言う生徒の脇腹を蹴飛ばした。

その生徒は、泣きそうになりながら地面に蹲った。

他の生徒達は、この様子を見て身をすくませていた。

それがもし自分だったら…とでも思ったのだろう。

そうだ。もし自分だったらと思って、その身に刻み込め。

「お前達は道具だ。私も道具だ。ただ国防の為、女王陛下を守る為、命を尽くす道具であれ」

道具に感情など必要ない。

道具に疲れや苦痛などない。

「魔法の使えない魔導師に価値なんてない。己に限界を感じたら、己の存在価値はなくなったものと思え」

冷たくそう吐き捨てると、地面に倒れ伏した生徒は、耐えきれずに泣き出した。

十六にもなって、情けない。

カッとなった私は、今一度生徒の腹を蹴りつけた。

生徒の身体はボールのように転がって、壁にぶつかった。

「その程度の覚悟もなしに、このラミッドフルス魔導学院に来たのか。貴様のような覚悟のない魔導師に価値などない。今すぐ生まれ故郷に帰れ!」

私の怒鳴り声は、訓練場の端まで轟いた。