…と、いう話を。

私は、時間をかけてシュニィちゃん達に語り聞かせた。

「…そんなことが…」

「学院長も羽久も、なかなか波乱万丈な人生送ってんなぁ」

と、キュレム君。

…君も大概だと思うけどなぁ。

「でも、肝心なことをまだ話してませんよね」

ルイーシュ君が、私に向かってそう言った。

思わずドキリとしてしまったが。

追及されたのは、別のことだった。

「肝心なこと?」

「イーニシュフェルト魔導学院を作ったきっかけですよ」

あぁ…。そっちか。

そっちならまだ。

「そうだったね。イーニシュフェルトかぁ…。何で作ったのと聞かれて、明確な答えを出すのは難しいけど…」

そうだなぁ。私がイーニシュフェルト魔導学院を作ったのは。

「二十音を魔導師として育てて、魔導師を育てる楽しみと言うか、やり甲斐を感じたからかな?」

あの頃は、二十音や羽久に出会ったお陰で、私も随分丸くなってたしね。

各地を放蕩するのにも飽きていたし。

「そこから、ルーデュニアの当時の国王様に下賜されて、聖魔騎士団の創設にも協力して…」

羽久と共に、学院の運営に注力してきた。

そして、今ここにいる人々に出会った。

私は幸せ者だ。

本当に幸せ者だ。

「…学院を作ったお陰で、私は君達という、かけがえのない存在に出会えた」

そして。

「私と君達を出会わせるきっかけを作ってくれたのは、二十音であり、羽久であり、二十音の中の他の人格達だ。彼らにも、心から感謝してるよ」