冒頭の、羽久の大変失礼な発言にも関わらず。

お茶会は、非常に和やかに進んでいた。

今日のお茶請けのクッキー、すっごく美味しい。

いくらでも食べられる味だよ。

クッキーなら、大抵いくらでも食べられるけどね。

そして、お茶会が一段落してきた頃。

「…そうだ、ベリクリーデちゃん」

「何?」

私は、お茶を啜っていたベリクリーデちゃんに声をかけた。

「私に聞きたいことって、何?」

「あぁ…。今聞いても良い?」

「何でも聞いて良いよ」

どんなことでも答えるよ。

もう、その覚悟が出来てる。

「何々?シルナって何でそんな顔面してるの、とか?何でロリコンなの、とか?」

羽久はいちいち私を傷つけないと、気が済まないのかな。

悪かったね。生まれたときからこんな顔面だよ。

あとロリコンではありません。失敬な。

「そうじゃないよ。ただ…あのとき」

「あのとき?」

「神祖が言ってたでしょ。お前を生かす為に死んだ全ての人が…とか、イーニシュフェルトの名前を持つ…とか。あれは、どういうことなの?」

「…」

…やっぱり、それか。

聞かれるとは思ってたけど。

「…ベリクリーデちゃん、あのときのこと覚えてるんだね。神祖と入れ替わってたのに」

「はっきり覚えてる訳じゃないよ。朧気ながら、だけど…。そんなこと言ってたような気がするから」

大正解。

そんなこと行ってたよ。確かに。

「…話したくないなら、無理に良いよ」

「いや…大丈夫だよ」

いずれ、皆にも話しておかなくてはならないと思っていた。

聖魔騎士団の大隊長である彼らには。

「学院長…。私達は、席を外しましょうか?」

シュニィちゃんは気を遣って、そう申し出てくれた。

しかし。

「いや、皆にも聞いて欲しい。君達にはその資格と権利がある」

「…分かりました」

良い機会だ。

出来れば、一生隠しておきたいと思っていたが…。

…そんな訳にはいかないからな。

ベリクリーデちゃんが、チャンスをくれたのだと思おう。