さて、これからどうするのかという話だが。

私と羽久は、『禁忌の黒魔導書』も回収したし、これでルーデュニアに帰れる。

…で、ベリクリーデちゃんは。

「これからどうするの?ベリクリーデちゃん」

「私?私は…もう収容所に入るのは嫌だから、よその国に行こうかな」

成程、それは賢明だ。

この国は、あまりにも異常過ぎる。

こんなところにいたんじゃ、命がいくつあっても足りないよ。

人間なら、の話だけど。

「人間として生きるつもりなの?」

「うん」

そうか。

まぁ、それも良いだろう。

「…よその国に行く、と言ったね」

ならば、良い国がある。

「ルーデュニアに来ない?」

「ルーデュニア…?」

私が勧誘すると、羽久は、また始まった…みたいな顔をした。

ごめんね。また同じこと言っちゃって。

「私達がいる国。ここよりずっと快適だよ」

「そうなの?」

「そうだよ。それに、魔導師になる為の良い学校がある。そこに入って、魔導師になるのはどうかな」

「…自分で良い学校って言うなよ…」

ちょっと羽久。茶々入れないで。

良いじゃん。ちょっとくらい自惚れても。

「魔導師に…私が…?」

「どうしても人間として生きたいのなら、止めないけど。でも、魔導師になりたい気持ちが少しでもあるのなら、前向きに考えてみてくれないかな」

「…うーん」

ベリクリーデちゃんは、頭を捻って考えていた。

あまり乗り気じゃないかな?

「…私でも、魔導師になれると思う?」

「君ほどの魔導適性があるなら、大丈夫だよ」

私も教育者として、色んな生徒を見てきた。

その上で、断言する。

鍛えれば、ベリクリーデちゃんは、聖魔騎士団大隊長クラスの魔導師になるだろう。

「…分かった。良いよ」

ベリクリーデちゃんは、こくりと頷いた。

「それは良かった。じゃあ、これから宜しくね、ベリクリーデちゃん」

「うん、宜しく」

…良かった。

彼女が私の傍から離れては困るのだ。

…ちゃんと考えてる、って言ったでしょう?

羽久は私のことを、甘いと思っているのかもしれないけど。

それは、大きな間違いだ。