「…この国、シェルドニア王国って言うんだ…」

まず第一に分かったことは、それだ。

これだけでもなかなかの収穫である。

新聞に書いてある。

「偉大なる我がシェルドニア王国は」って。枕詞みたいに。

それから。

「…物凄い独裁国家なんだね。この国は」

ぽつりと呟くシルナ。

そう。それがもう一つの分かったことだ。

この新聞を読めば分かる。

王家による独裁と、国民への洗脳。

それが、このシェルドニア王国の骨子なのだ。

国民が皆、全く同じ服を着ていること。

図書館に入るのに許可証が必要なこと。

逆らえば、即射殺されかねないこと…。

この過激な体制が、シェルドニアという国を作っている。

「成程ね…。これは…動きにくいね」

「あぁ…」

生まれたときからシェルドニアにいる国民達でさえ、こんな国で生きているのは息苦しいだろう。

その上俺達は、余所者なのだ。

ただこの国に潜り込んで、禁書探しをする旅人でしかない。

間違いなく国民を厳しく統制しているであろうこの国で、俺達のような戸籍を持たない余所者が探し物をするには、あまりに窮屈過ぎる。

一応、魔法で姿を消して…とかいうことも出来なくはないが…。

「参ったなぁ…。こんな時代錯誤な国があるとは…」

「良かった。俺、こんな国に生まれなくて…」

「本当にねぇ。ルーデュニアは平和で良いよ」

こんな国に生まれたら、呼吸すら自由に出来なさそうだ。

束縛されるなんて御免だね。俺は。