「何で?何で道を歩いてるだけで警察に追われるの!?」

「だから、シルナの顔面が…」

「仮に私の顔面が警官の気に障ったとしてもね、それだけで捕まるのはおかしいでしょ!」

確かに。

シルナの顔面がいかにムカつくとしても、それだけで捕まるのは、さすがに横暴な気がする。

第一、俺まで追われてるし。

何でなんだ、一体。

捕まるようなことした覚えはないんだけど?

それとも何か。顔を見て、こいつらは犯罪者予備軍だと思われたのか。

予備軍なだけで捕まえてくれるな。

予備軍なのはロリコンのシルナだけであって。

すると。

パンッ!と発砲音が鳴り響いた。

振り向くと、警官が拳銃を向けていた。

おいおい、マジかよ。ノーコンだなあんた。

それとも威嚇か?

まさか発砲までしてくるとは。わざと外したのか、外れただけなのかは知らないが。

「と、とにかく逃げよう。逃げるが勝ちだ」

「あぁ…。eimt ptos」

俺はくるりと振り向いて、拳銃を向ける警官の時間を止めた。

時間を止めてしまえば、こちらのものだ。

俺とシルナは、警官の時間を止めたまま、全力疾走で逃げた。

三十六計、逃げるに如かずという奴だ。