…相変わらず、夢を見る。

昔から何度か同じ夢を見るけれど、最近富に、頻度が増えているような気がする。

これは、一体何なのだろう?

昔、小さい頃お母さんに聞いてみたことがある。

「よく同じ夢を見るの、これは何でだと思う?」って。

でも、お母さんは特別不思議なこととは思わなかったようだ。

多分、小さい頃に読んだ絵本か何かの情景が、無意識のうちに強く印象に残っているのだろう、と。

お父さんも似たような意見だった。

それに、同じ夢を見るというだけで、特に困っている訳でもない。

怖くてうなされる、ってこともないし。

ただ、不思議だなぁと思うだけ。

あるいは、眠りが浅いのかな、と。

眠りが浅いのは良くないことだ。ただでさえ収容所暮らしで、慢性的な疲労が蓄積しているのに。

収容所では、限られた睡眠時間でいかに疲れを取るかが、とても重要だ。

それなのに、眠りが浅いというのは頂けない。

まぁ、現状困るほどではないから良いかな、なんて思っていた、その矢先。








ある朝、朝食の前に、私は監視員に呼ばれた。

「461番!召集!」

ここでは、名前で呼ばれることはない。

常に、囚人服に縫い付けられている囚人番号で呼ばれる。

そして461番は、私の囚人番号であった。