この収容所は、国の体制に逆らう政治犯を収容する施設である。
私がここに来て、もう十年以上になる。
私が住んでいるこのシェルドニア王国では、前時代的な独裁体制が敷かれている。
国王がたった一人で国を支配し、洗脳教育によって国民を洗脳している。
そして、万一国の方針に逆らう者がいたら、こうして捕まえて、収容所に入れる。
収容所では、人間らしい扱いは受けられない。
国に逆らう政治犯は、殺人や強盗よりも重い罪だ。
そんな私達に、人権などない。
収容所では、懲罰に怯えながら、強制労働に従事させられる。
食事も粗末で、一日に二回。朝と夜だけ。
ほんの僅かに具の入った薄いスープと、固くて黒いパンだけ。
当然皆お腹を空かせていて、常に飢えに苦しんでいた。
普段なら不味くて食べられないようなパンの為に、殺し合うほどの喧嘩を繰り広げているところも見たことがある。
食べ物を巡って争うなど、人間の所業ではない。
野生の動物だ。
酷く惨めな光景だが、飢えている人はそれに気づかない。
例え飢えて死んでも、葬式さえ行われない。
死ねば、囚人に地面を掘らせて、そこに死体を埋めるだけ。
穴が浅いと、埋められた死体が土から出てくることもあった。
地獄のような光景だった。
最初ここに来たとき、私はそのような光景に耐えられなかった。
でも、ここに来て十年以上がたった今では、何を見ても驚きはしなくなった。
何もかもが、今の私にとってはただの日常だ。
人間、どんなことにでも慣れてしまう生き物らしい。
飢えだけではない。病気で亡くなる人も多かった。
収容所には、病気が蔓延していた。
大半が、栄養失調から来る病気だった。
誰もが常に死と隣り合わせだ。
飢え、病気…そして監視員からの暴力。
いつ死んでもおかしくはなかったし、死体を見ても、もう可哀想とか気の毒だとは思わなくなった。
明日は我が身、と思うだけだ。
それくらい、死は身近なものだった。
たまに、こんな悲惨な生活に耐えられなくなって、収容所から脱走しようとする囚人がいた。
でも、私が知る限り、脱走に成功した者は一人も知らない。
監視員は常に拳銃を携帯していて、囚人が逆らえば、いつでも撃ち殺す権利を持っていた。
少しでも怪しい動きを見せれば、監視員は躊躇いなく引き金を引いた。
一発の弾丸で殺してもらえるのなら、まだ楽だ。
脱走して、もし捕まったら…どんな目に遭わされることか。
収容所で、脱走犯の悲惨な末路を知らない者はいないだろう。
私自身、何度もこの目で見せられた。
私がここに来て、もう十年以上になる。
私が住んでいるこのシェルドニア王国では、前時代的な独裁体制が敷かれている。
国王がたった一人で国を支配し、洗脳教育によって国民を洗脳している。
そして、万一国の方針に逆らう者がいたら、こうして捕まえて、収容所に入れる。
収容所では、人間らしい扱いは受けられない。
国に逆らう政治犯は、殺人や強盗よりも重い罪だ。
そんな私達に、人権などない。
収容所では、懲罰に怯えながら、強制労働に従事させられる。
食事も粗末で、一日に二回。朝と夜だけ。
ほんの僅かに具の入った薄いスープと、固くて黒いパンだけ。
当然皆お腹を空かせていて、常に飢えに苦しんでいた。
普段なら不味くて食べられないようなパンの為に、殺し合うほどの喧嘩を繰り広げているところも見たことがある。
食べ物を巡って争うなど、人間の所業ではない。
野生の動物だ。
酷く惨めな光景だが、飢えている人はそれに気づかない。
例え飢えて死んでも、葬式さえ行われない。
死ねば、囚人に地面を掘らせて、そこに死体を埋めるだけ。
穴が浅いと、埋められた死体が土から出てくることもあった。
地獄のような光景だった。
最初ここに来たとき、私はそのような光景に耐えられなかった。
でも、ここに来て十年以上がたった今では、何を見ても驚きはしなくなった。
何もかもが、今の私にとってはただの日常だ。
人間、どんなことにでも慣れてしまう生き物らしい。
飢えだけではない。病気で亡くなる人も多かった。
収容所には、病気が蔓延していた。
大半が、栄養失調から来る病気だった。
誰もが常に死と隣り合わせだ。
飢え、病気…そして監視員からの暴力。
いつ死んでもおかしくはなかったし、死体を見ても、もう可哀想とか気の毒だとは思わなくなった。
明日は我が身、と思うだけだ。
それくらい、死は身近なものだった。
たまに、こんな悲惨な生活に耐えられなくなって、収容所から脱走しようとする囚人がいた。
でも、私が知る限り、脱走に成功した者は一人も知らない。
監視員は常に拳銃を携帯していて、囚人が逆らえば、いつでも撃ち殺す権利を持っていた。
少しでも怪しい動きを見せれば、監視員は躊躇いなく引き金を引いた。
一発の弾丸で殺してもらえるのなら、まだ楽だ。
脱走して、もし捕まったら…どんな目に遭わされることか。
収容所で、脱走犯の悲惨な末路を知らない者はいないだろう。
私自身、何度もこの目で見せられた。