こんなところで、夢なんて見るものではない。

私だって分かってる。

でも、目を閉じたら同じ夢を見てしまうのだから、仕方ないではないか。

もしかしたら、眠りが浅いのかもしれない。

あまりにも疲れ切ってしまって。

無理もないことだった。毎日休みなく、あんな単調な力仕事を延々と、何時間もやらされたら…疲れるのは当然だ。

私達に、休む権利などない。

朝早くから、夜は遅くまで、鞭で見張られながら働かされる。

少しでもサボったり、さっきみたいにぼんやりしていたら、容赦なくその鞭で殴られる。

それどころか、鞭で殴られるだけなら、まだマシだ。

監視員の機嫌が悪かったり、少しでも反抗する態度を見せたら、懲罰房に連れていかれてしまう。

あそこに連れていかれたら地獄だ。

生きて出てこられる保証もない。

ろくに食事も与えられず、拷問を受け、それ以外の時間は、延々と肉体労働に従事させられるのだ。

あんなところには、決して入りたくはない。

なら、鞭で殴られながら通常房にいた方がマシだ。

殴られながら、見張られながら、休みももらえず働かされるなんて、人権侵害も甚だしい、と思うかもしれない。

私自身、そう思う。

でも、ここでそんな正論は通用しない。

そんなこと口にすれば、鼻で笑われるだけだ。

ここに人権なんてものはない。

何故なら、私達は人権を持たない人間とされているからだ。

ここは私達のような、人権を持たない人間を矯正する為の収容所。

故に、私達が虫けらのように扱われるのは、至極当然のことなのだ。