あの日何が起きたのか、俺もちゃんと覚えている訳ではない。

ただ、生きている人は誰もいなくなっていた。

僧侶も含めて、だ。

僧侶は真っ黒焦げの炭になって、死んでいた。

恐らく、俺が『死火』を暴走させてしまったのだろう。

火の海になった村を見つめて、俺は思った。

もう二度と、誰も信じたりはしない、と。