授業終了のチャイムが鳴り終わったかと思うと。

ドドドド、とイノシシが群れを為して突進してきたのか、というような音がして。

「シュニィィィィっ!返しに来たぞ!」

「ひゃあっ!?」

派手な音を立てて、教室の扉が開いた。

これにはクラスメイトも目が点。

「間に合ったか!間に合ったな!?良かった、これありがとう!返す!」

「あ、あ、あなたという人は…」

ぜぇぜぇ言いながらテキストを差し出すアトラスさんに、さすがの私も怒った。

「早く返してとは言いましたが、廊下を走りなさいとは言ってません!もっと落ち着いて返しに来てください!」

「え?でも…シュニィが早く返して欲しがってたから」

「だからって廊下走ったら危ないでしょう!」

この人のことだ。二、三人吹っ飛ばしていたとしても、気づかず猪突猛進していたに違いない。

被害者がいなければ良いのだが。

「と、とにかく…。返してもらいましたから。落ち着いて、ゆっくり帰ってください」

「あぁ!本当にありがとう、シュニィ。助かったよ」

それは何より。

「じゃ、また放課後にな!」

「はい」

全く、あの有り余るパワーは何処から来てるのか。

やれやれ、である。