──────…二人組の魔導師は、俺に杖を向けることなく去っていった。

…残された俺と月読は。

「…どう思う」

俺は、月読にそう尋ねた。

「厄介だね。あれは強いよ」

俺が思ったのと、全く同じことを…月読も感じ取ったらしい。

そう…あれは強い。

『死火』という、最強の闇の魔導書を持つ俺でも…敵わないかもしれないほどに。

今までの「客」とは、話が違うようだ。

だが…。

「…誰が、何度来ても同じだ」

俺は、この魔導書を誰にも渡す気はない。

何があっても、決して。

「でもあの人達がまた来たら、そのときはどうするの?」

「関係ない。死ぬまで抗うだけだ」

俺がやることは、いつも変わらない。

彼らの魔法に焼かれることがあったとしても、『死火』は渡さない。

それだけだ。

しかし、月読は。

「…君が死ぬのは駄目だよ」

珍しく真剣な眼差しで、俺を見つめた。

…そうだったな。

「…分かった」

俺だって、みすみす死ぬつもりはない。

必要なら、この時空から離れることも考えなくては。

アシバやイズチのことを思うと、気が重かったが。

『死火』を守る為には、仕方がなかった。

しかし。












その翌日、状況が大きく変わった。