「俺は、お前達に従うつもりはない。それ以外、言うことは何もない」

…成程。

その敵意に満ちた目を見れば、彼の言いたいことはよく分かる。

「従ってくれとは言わないよ」

「なら、何を言いに来た」

君が『死火』を使って、ルーデュニアの人々を殺したのかどうかを聞きたかったんだけど。

それはもう済んだから。

「出来れば、友好的に私達の仲間になってくれないかなと…」

「断る」

少しは考えてくれても良いじゃん。

そんな素っ気なく断られると、私も傷つくなぁ。

「どうしても駄目?」

「俺はお前達に従わない」

従って欲しいのではなく、仲間になって欲しいのだが。

そこのところ、どうやら私と彼の間には誤解があるようだ。

「まぁ、こんな小汚ないおっさんの味方にはなりたくないよな…。その気持ちは分かる」

ちょっと。羽久何頷いてるの。

いくらなんでも私に失礼過ぎでは?

傷つくからやめて。

「私達は君の敵じゃないんだけどね」

「…俺はそんなことは信じない。俺の敵になるなら、殺すだけだ」

…そっか。

こんなところで『死火』の持ち主の君と本気でやり合ったら、死者が出そうだね。

「…こいつ、黙らせるか?」

血の気の多い羽久が、じろっ、とこちらを見た。

そりゃまぁ、私と羽久が組めば、『死火』を持つ彼にも勝てるだろうけど…。

私は、彼を屈させて従わせたい訳ではない。

「…いや、今日は出直そう」

一度でも彼に杖を向けたら、彼は絶対に私達を信じてくれないだろう。

だから、攻撃しちゃいけない。

「…また会いに来るよ」

「…二度と来るな」

さて、それはどうかな。

会いたくなくても、会わなきゃならないことになるかもしれないね。