早速難航する捜査に、俺達は頭を抱えていた。

「うーん…」

聞込み調査なんて、実に探偵らしい、と喜び勇んで来たは良いものの。

捜査に進展なし。

「困ったな…。まさかここまで難航するとは…」

「住んでた場所が間違ってんじゃないのか?」

「でも、エルクを知ってる人も何人かはいた訳だし…」

本人が申告するこの住所に、かつて住んでいたことがあるのは事実なのだろう。

しかしそれがいつのことなのか、そのとき誰と一緒に暮らしていたのか。

それがさっぱり分からない。

「…」

ちらりと視界の端を見ると、月読がにこにことしながら、俺達を眺めていた。

右往左往する様が面白いのだろうか。悪趣味だ。

もしかしたら、彼女にはもう何かが分かっているのかもしれない。

「とにかく…。明日からも、もう少し聞き込みを進めてみよう。それから…エルクさん本人にも、詳しく話を聞いてみよう」

「それしかないか…」

「折角探偵らしい仕事を引き受けたのに…なかなか上手く行きませんね」

本当にな。

上手く行かない方が、それはそれで探偵っぽいのかもしれないけど…。

まぁ、実際俺は、彼の妹が生きていようと、どうしていようと…関係ないし、どうでも良いのだから。