「…どういうことだ?狙ってるって…」

「落ち着いてよ。アシバ君に聞こえちゃうよ」

…そうだった。

つい、普通に喋ってしまった。

寝言が激しいと思われてしまう。

「…済まん。それで…狙ってるって」

「うーん。本当に来てるかどうかは分からない。勘」

月読の勘なら、それは本物だ。

「誰が来てるのか分かるか?」

「分からない。でも…いつもの雑魚じゃないと思う」

今までも、何度も俺達を狙った輩が攻めてきたことがあった。

一度や二度ではない。

でも、いずれもすぐに撃退出来る程度の相手だった。

それなのに…。

「…強いのか?」

「多分。気をつけてね。私も注意しておくから」

「…分かった」

…折角、ここしばらく平穏だったのに。

このまま何十年かは、平穏に過ごせると思ったのに…。

その平穏が、崩されようとしている。

「…面倒だな…」

どうして、誰も俺達を放っておいてくれないのか…。















…何があっても、これを渡すつもりはない。