「…分かりました。ありがとうございます」
全ての証拠に淡々と目を通して、Oさんは能面のままそう言って、頭を下げた。
「お陰で気分がすっきりしました」
「は、はい」
「妻と、不倫相手に話を聞いて…それなりの手続きを取ろうと思います。本当にありがとうございました」
…Oさんにとっては、これからが本当の修羅場なんだろうな。
俺達の仕事は、Oさんの奥さんの不倫を突き止めるところまで。
そこから先は、Oさんの問題だ。
何かが吹っ切れたような顔をして帰っていくOさんを、俺達は静かに見送った。
願わくば、Oさんが家庭の問題に煩わされることなく暮らしていけるように。
心安らかに暮らせるように、祈った。