中には、本体のシルナらしい穏やか~でゆる~い分身もいるが。
きびきびハキハキした分身もいる。
まぁ教師のタイプが一種類しかいないんじゃ、教育方法が偏ってしまうので、十人十色なのは良いことだ。
しかし。
「…それは良いとして、その新しい女分身…。性格はどうするの?」
「性格?あぁ、そうだね…。じゃあ見た目通り…ゆるふわ系で行こう!」
若い女性が使うならともかく。
良い歳した小汚ないおっさんが「ゆるふわ系」なんて言葉を目の前で使うのを聞いたらさ。
マジで殴りたくなってくるからな。本当。我慢してる俺は偉いよ。
「またかよ。シルナの分身、本体も含めて全部頭ゆるふわ系じゃん。たまには違う性格にしたら?」
「頭!?頭ゆるくないよ!それと、ちゃんと厳しい分身もいるよ?」
「…」
このおっさんの言うことを信じてはいけない。
大嘘である。
「全然厳しくないだろ」
シルナの厳しさの定義は、誰もが想像するそれとは、大きく異なっている。
良いか真面目に宿題してこいよ、してなかったら怒るからな、といかにも怖そうな顔で脅す割には。
本当に宿題やってこない生徒がいても、体調悪くて…とか言われると、もう駄目。
「え?そうなの大丈夫?授業出られる?医務室行く?」とか、割とガチで心配し始めるし。
そもそも叱るということが出来ない人間だから。
本体が出来ないことは、分身にも出来ない。
お陰でイーニシュフェルト魔導学院の教師陣は、見た目こそ違っているものの、俺以外全員、根っこは似たような人間である。
「じゃあ今度こそ厳しくしてみようか…。あっ、でも新しく開講される科目で、皆戸惑ってるのに、先生が厳しかったら可哀想だよね」
「…」
「やっぱり、ゆるふわ系の分身にしよう」
…すぐこれだもんな。
これじゃあ一向に厳しい教師なんて出来ないじゃないか、と思った。
そのとき。
「学院長、羽久さん」
「ん?」
我らの聖魔騎士団副団長殿が、学院長室を訪ねてきた。
きびきびハキハキした分身もいる。
まぁ教師のタイプが一種類しかいないんじゃ、教育方法が偏ってしまうので、十人十色なのは良いことだ。
しかし。
「…それは良いとして、その新しい女分身…。性格はどうするの?」
「性格?あぁ、そうだね…。じゃあ見た目通り…ゆるふわ系で行こう!」
若い女性が使うならともかく。
良い歳した小汚ないおっさんが「ゆるふわ系」なんて言葉を目の前で使うのを聞いたらさ。
マジで殴りたくなってくるからな。本当。我慢してる俺は偉いよ。
「またかよ。シルナの分身、本体も含めて全部頭ゆるふわ系じゃん。たまには違う性格にしたら?」
「頭!?頭ゆるくないよ!それと、ちゃんと厳しい分身もいるよ?」
「…」
このおっさんの言うことを信じてはいけない。
大嘘である。
「全然厳しくないだろ」
シルナの厳しさの定義は、誰もが想像するそれとは、大きく異なっている。
良いか真面目に宿題してこいよ、してなかったら怒るからな、といかにも怖そうな顔で脅す割には。
本当に宿題やってこない生徒がいても、体調悪くて…とか言われると、もう駄目。
「え?そうなの大丈夫?授業出られる?医務室行く?」とか、割とガチで心配し始めるし。
そもそも叱るということが出来ない人間だから。
本体が出来ないことは、分身にも出来ない。
お陰でイーニシュフェルト魔導学院の教師陣は、見た目こそ違っているものの、俺以外全員、根っこは似たような人間である。
「じゃあ今度こそ厳しくしてみようか…。あっ、でも新しく開講される科目で、皆戸惑ってるのに、先生が厳しかったら可哀想だよね」
「…」
「やっぱり、ゆるふわ系の分身にしよう」
…すぐこれだもんな。
これじゃあ一向に厳しい教師なんて出来ないじゃないか、と思った。
そのとき。
「学院長、羽久さん」
「ん?」
我らの聖魔騎士団副団長殿が、学院長室を訪ねてきた。