これには、アトラスさんもびっくりであった。

「切れた!?これ…どうなってるんだ?シュニィ、一体何をしたんだ?」

「はい、あの…。刀身を魔力で覆って強化したんです。これで魔法を斬ることが出来るようになって…」

「そんなことが出来るのか!?」

…何だか、凄く興奮していらっしゃる。

「はい。これを応用すれば…eirf」

「うぉっ!?」

炎の魔法をかけると、アトラスさんの剣が一瞬にして、炎を纏った。

「も、燃えてる!シュニィ、燃えてるぞ!」

「はい。炎魔法で覆ったので…。それから、こんなことも」

今度は雷魔法をかける。

すると、剣がバリバリと電流を迸らせた。

「おぉ…!」

「あとは…これも出来ますね」

水魔法をかけると、今度は剣が水流を纏った。

「これなら、炎魔法にも対抗出来ますね。相手が使う魔法と反対属性の魔法を纏わせれば、弱点を突くことも可能です」

「…!」

「あとは…時魔法で剣の速度を上げることも出来ます。これは慣れが必要でしょうが…。そうですね…それから、力魔法を応用して、剣の重さを自在に変えられるようにすれば…。自分が振るときは軽く、相手に当たったときは重くすることも出来ますね。あとは…」

ついつい悪い癖が出て、調子に乗って色々言ってしまったのだが。

気づくと、アトラスさんがぶるぶる震えていた。

それを見て私は、しまった、と我に返った。

彼は剣士であり、剣士であることを誇りに思って剣を振るっているのだろうに。

魔法で小細工をするなど、彼を侮辱する行為だ。

「あ…ご、ごめんなさい。私調子に乗って…」

殴られるかと思って俯いてしまった私の肩を、アトラスさんがガシッ、と掴んだ。

驚いて顔を上げると、アトラスさんは感動した!みたいな顔で。

「シュニィ!お前、凄いな!魔法でこんなことが出来るなんて!」

「え、え?」

「これなら魔導師相手でも勝てるぞ!よし、もっと色々やってみよう、シュニィ!」

「は…はい…?」

私はびくびくしながら頷いたが、アトラスさんは興奮して、私が驚いていることにも気づいていないようだった。

どうやら…魔法で剣を強化されるのは、嫌じゃなかったらしい。

それは良かったけど…。でも…。

私相手に、こんなにぐいぐい来る人は…初めてで、私はどうしたら良いのか分からない。