「まぁ、君が引きこもりたいなら止めはしないけどさ…。あんまり引きこもってばかりいたら、いざ必要となった時、外に出られなくなるよ」

…それは困るな。

「でも、ここが落ち着くんだよ。ここには誰もいないだろう?俺の脅威になる人は誰も…」

「…そうだね」

だから俺は、ここが好きなのだ。

日の光に閉ざされたこの場所は、俺をあらゆる脅威から守ってくれる。

そんな風に思うのだ。

「…つまり今まで君の周囲には、君の脅威になる人が大勢いたんだね?」

「…あぁ」

俺は、ゆっくりと目を閉じた。

思い浮かぶのは、過去の景色。

俺をモノのように売り飛ばそうとした、醜悪な大人達の姿だ。

別にマキナスだって、聞きたい話ではなかったろうが。

俺はぽつりぽつりと、過去の出来事を語っていた。

俺という人間の中にある、過去の記憶を。