そして、もしそうなのだとしたら。

「…探しに行ってあげないとね」

羽久が何処かで目を覚ませば、自分で帰ってくるだろうけど。

もし新しい人格の子のまま、羽久が目を覚まさなければ。

そのときは…誰かが探しに行かないと。

二度と、戻ってこれなくなってしまう。

「朝になっても戻らなかったら、探しに行ってくるよ」

「…何処を?」

「さぁ…何処だろうね」

もし羽久が羽久のままなら、探す必要はない。

あの子の魔力を辿れば、すぐに見つけ出せる。

でも羽久が、私の知らない別人格なら。

魔力を追って探す、ということは出来ない。人格が違えば、魔力の質も全くの別物だから。

「あの子がいそうなところを…しらみ潰しに探していくことになるだろうね」

「…それで…本当に見つかるんですか?」

「見つかるよ」

私は、はっきりとそう言った。

見つからない、なんてことは有り得ない。

だって。

「…見つかるまで探すからね」

あの子を見捨てるという選択肢は、私にはない。

他の何を犠牲にしてでも、必ず探し出す。

何日、何年、何千年かかろうと。

私の人生が続く限り、見つかるまで探す。

それ以外のことなんてどうでも良い。

私にとって、あの子以上に大切なものなんて、この世の何処にもない。

「…なら、学院長。私も一緒に探します」

「…クュルナちゃん」

「一緒に探させてください。…お願いです」

羽久を死ぬほど心配してるのは、私一人じゃない、ってことか。

「…分かった。一緒に探そう」

「ありがとうございます」

…一体、いつになるかは分からない。

羽久がもし時空を移動して迷子になっているのなら、探すのは骨が折れるだろう。

だけど。














「…必ず見つけるからね。羽久」