その後私はすぐ、シュニィちゃんに連絡を入れた。

「やぁシュニィちゃん。ちょっと良いかな」

『あら、学院長先生…。どうされました?』

突然の連絡にも、シュニィちゃんはにこやかに応じてくれた。

「羽久、そっちに行ってない?」

『羽久さん…?いえ、来てませんが…』

あれ?

「いないの?来てない?」

『はい。今日はこちらに仕事もないはずですし…。学院の方にいるんじゃないんですか?』

「それが、いないんだよ」

午前中に、私のおやつを巡って喧嘩して以来、姿を見ていない。

あのとき羽久は学院長室から出ていって…。

それから、一体何処に?

「何処行っちゃったんだろう…」

『…心配ですね。もしこちらにいらっしゃったら、すぐ連絡します』

「うん、お願い」

そう言って、シュニィちゃんとの通話を終える。

…仕方がない。

「羽久がいないなら時魔法の授業は出来ないから、今日は自習にしよう。クラスに戻って、皆にそう伝えてくれる?吐月君」

「あ、はい…。分かりました」

私でも時魔法の授業、出来なくはないのだが…。羽久ほど精通してる訳でもなし。

羽久と比べて、遥かに授業の質が落ちるのは間違いない。

それが分かっていて、私が時魔法の授業を担当するのは躊躇われた。

そして何より、私は授業どころではなかった。

羽久は、一体何処に行ってしまったんだろう。

それが心配だった。