「…じゃ、次は…来月末までに、これらを頼む」

ルルシーさんが、新たな注文書をこちらに差し出した。

発注された武器のリストを一通り眺めたジュリスは、

「…今回は多いですね」

と、一言。

マフィアが発注する武器の数が増えてるって…。何だか物騒な兆候だ。

いや、こちらはそのぶん儲かるのかもしれないが…。

「用意出来ないか?何なら納期は、再来月まで伸ばしても良い」

「いえ…。大丈夫ですが…。失礼ながら、何か事情が?」

ジュリスがそう尋ねると、ルルシーさんもルレイアさんも、マフィアの目になった。

思わずぞっとしてしまう冷たさだった。

不味いことを聞いてしまったんじゃないかと焦ったが。

「…こんなことはよそには話さないんだが。まぁ、何だかんだそちらとは長い付き合いだからな…」

「…」

「…ここだけの話、シェルドニア王国がルティス帝国に攻めてくるかもしれないって話が持ち上がってるんだ」

「…!」

何事にも動じなかったジュリスだが、これには驚いたようだ。

シェルドニア王国というのが何処にある、どんな国なのかは知らないが。

ジュリスのこの反応で、何やら不味いことになりつつあるらしいと分かった。

「シェルドニアが…?本当ですか」

「一応不可侵条約はもぎ取ってきたが、何考えてるか分からない連中だからな。万が一ということもある。その対策だ」

「ルルシーは心配性ですねぇ。いかに頭の中まで縦ロールと言えど、不可侵の約束は守りますよ。きっと」

「信用出来るもんか。あんな女…。対策しておくに越したことはない」

「全く…。目の敵にしてるんですから、ルルシーったら」

「当たり前だ。お前にあんなことをした奴を…」

…。

俺にはよく分からないが、彼らには彼らなりの事情があるらしい。

「…分かりました。とにかく、来月末までに間に合わせます」

「頼む。少々遅れても構わないから、数だけは確保してくれ」

「はい」

こちらは、こちらの仕事をするとしよう。