さて、気を取り直して。

「で…。頼んでいた物の発注だが」

「注文されていたものは、全て納品しました」

ジュリスが、ぴらっ、と納品書を差し出した。

ルルシーさんがそれを受け取り、じっくりと眺めた。

『オプスキュリテ』が『青薔薇連合会』に納めたのは、主に武器の類だ。

拳銃、弾薬、手榴弾、催涙弾、剣やナイフに至るまで幅広く。

そして。

「こいつが頼んだブツは?」

ルルシーさんが、ルレイアさんを指差した。

「特注の鎌ですよね。ここに」

…鎌?

ジュリスは、持参した巨大な黒い袋に入った「それ」を、テーブルに置いた。

何を持ってきたのだろうと思っていたが…これは鎌なのか?

しかし、何で鎌?

と思っていると。

「ふむ、じゃあ見せてもらいますね」

ルレイアさんは、おもむろに黒い袋を開け、中からすらり、と鎌を取り出した。

刀身も柄も全部真っ黒で、しかも巨大な鎌。

それを持つのは、全身真っ黒な衣装を身につけた、黒髪の男。

その姿は、正に…。

「ったく…。また死神みたいになりやがって」

「うふふ。格好良いでしょう?」

くるりんっ、と楽しげに鎌を回すルレイアさん。

危ないのでやめて欲しい。

「うんうん。良い感じですね。やっぱり武器の質は、お宅が一番ですよ」

「ありがとうございます」

「これからもご贔屓にさせてもらいますよ。格好良いけど、ちょっと刈ったらすぐ錆びちゃうのが辛いところですよね~。ね、ルルシー」

「…お前の『ちょっと』は、ちょっとどころじゃないからな…」

この人が本気で死神と化したら、どんなことになるのか。

俺達はまだ知らない。