そして、翌週。

俺はジュリスと共に、地上に出た。

件の、『青薔薇連合会』との取引の為である。














「…」

「…そんなに緊張するなよ。取って食われたりはしないよ。…多分」

多分って何。

そこは自信を持って言ってくれ。

これから生粋のマフィアと対面するとなれば、誰でも緊張するというものだ。

しかも。

「これから会うのは、『青薔薇連合会』の幹部だ」

…幹部?

「それは…偉い立場の人?」

「偉いぞ。『青薔薇連合会』では、首領に次ぐ権限を持ってる立場だ」

物凄く偉いじゃないか。

そんな人と会うなんて。ジュリス、お前は何者だ。

そして何故、俺はその場にいるのか。

「下手なことを言ったりしたりしたら、即刻撃ち殺される…なんてことにはならないよな…?」

不安なんだが。

もし機嫌を損ねたら、どんな目に遭わされるか…。

「心配するな。余程の失言でなければ、笑って済ませてくれるよ」

「本当に…?」

「喋るのは俺がやるから、お前は見てろよ。大丈夫だ」

…まぁ、俺はあくまで付添人なのだから、喋る必要はないが…。

「それに、いざとなったら多分、お前は…」

「…?」

「…いや、何でもない。とにかく心配することは何もねぇよ」

…いざとなったら、何?

俺が何をすると?何も出来ないぞ、俺は。

それにしても『青薔薇連合会』のマフィア、か…。

末端の下っ端はともかく、非合法組織の本当に偉い人って、意外にそんな風には見えないんだよな。

写真を見せられても、「え、こんな人当たりの良さそうな人がマフィアの幹部?」って思ったりするものだ。

ということはきっと、これから会う人も。

え、こんな優しそうな人がマフィアの幹部?って思うような人なんだろう。

人は見た目に寄らないって奴だ。

実際、見た目は大事だよな。

見るからに人を威圧するような人は、むしろ幹部みたいな、偉い立場にはむかな、

と、思ったそのとき。

部屋の扉が開いた。

そこに現れたのは…。

「んん~。ルルシ~」

「…くっつくな。離れろ馬鹿」

…見た目は大事だよな…って、思った傍から。

…とんでもない見た目の人間が現れた。