それから数日間、俺は『オプスキュリテ』のアジトで過ごした。

地下組織と言うだけあって、アジトは文字通り、日の当たらない地下にあった。

マキナスが言うには、ここは大きな工場の跡地で、元々はその工場の地下倉庫だったらしい。

不況の折に工場が閉鎖され、その土地をジュリスが買い、地下倉庫を広げ、改装して今の姿になったのだとか。

成程、地下倉庫。

地下組織に相応しいアジトである。

ここが日の当たらない地下だと言うなら、俺を追ってきているであろう者達も、簡単には見つけられないだろう。

…多分。

さて、話を戻すが。

『オプスキュリテ』には、俺以外にも多くの構成員がいた。

全員、ジュリスに拾われてここにいるらしい。

何らかの事情で、表社会で暮らせなくなった者の集まりだ。

当然、俺も含まれる訳だが。

彼らは、皆己の過去を隠して生きていた。

皆自分の過去に蓋をしているのだ。

成程、ここではそういう生き方をしても良いらしい。

やっていることは確かに非合法かもしれないが、居場所をなくした人々にとっては、ここは最後の逃げ場所なのだろう。

俺にとって、そうであるように。

確かにここでは、日の光に触れることは出来ない。

誰にも胸を張れる、真っ当な生き方も出来ないが。

でもここにいる全ての人々にとって、ここは自分の居場所であり、帰る場所だった。