俺とルイーシュが、稀によく使う戦法だ。

俺が激しい弾幕を張り、ルイーシュが敵に気づかれないよう、こっそりと弾幕の一部を亜空間に転送し、溜める。

そして、亜空間で蓄積された魔弾を一つの魔力の塊にして、不意を突いて敵の背後にぶっぱなす。

これで相手が落ちることもあるし、今回みたいに敵が手練れの場合は、それをフェイントにして、本命の拳銃レーザーをぶちかます。

敵にバレないように亜空間に魔弾を「溜める」には、激しい攻撃をしなきゃならないし。

レーザー撃つのはかなり魔力を使うから、俺も相当疲れる。

そしてそれ以上に、魔弾を亜空間に転送し、一つにまとめ、的確なタイミングでそれを敵にぶつける。

と、いう作業を、全部敵に感づかれないように行わなければならないルイーシュは、もっと疲れる。

二人して疲れる技なので、本当はあまりやりたくないというのが本音である。

まぁ今回は相手が相手だし、そうでもしなきゃ勝てないから仕方がなかった。

「やれやれ…。ったく…」

一応ファントムは片付けたけど…。

『禁忌の黒魔導書』を二人で相手するのは、大層面倒臭い。

正直もうやりたくないな…と思っていたら。

「はぁぁ疲れたー。もう動きたくなーい」

ルイーシュが、べたーっと床に座って、駄々をこね始めた。

「…おい。へたるのはまだ早いぞ。監禁された五人を探さないと」

別の空間に閉じ込められてるんだろ?

なら、空間の扉を開けるのはルイーシュじゃないと無理だ。

「もう良いじゃないですか。監禁されとけば…。俺は『禁忌の黒魔導書』ぶっ飛ばしたんだから、それでお役御免…」

「して良い訳ないだろ。ほら立て。もう少しだ」

「面倒臭いぃぃ~」

「うるせぇ俺だって面倒臭いんだよ!やる気なくすからさっさと動け!」

お前は人のやる気を削ぐ天才か!

「もう…。仕方ないですねぇ。じゃあ終わったらおんぶして帰ってください。俺もう歩くの嫌なんで」

「あー、はいはい。何でもしてやるから早くやれ」

そう言うと、何故かルイーシュは機嫌を良くして、杖を振った。