──────…そして、今に至る。












俺にぶん殴られたグリードは、床に這いつくばったまま、呆然として俺を見上げていた。

何で殴られたか、分かってない顔だな。

「…甘えんなよ、糞が」

俺は、グリードの胸ぐらを掴み上げた。

俺だって。

ルイーシュだって。

誰だって。グリードだって。

皆何かしら、辛い思いしながら生きてんだよ。

自分の苦しみや悲しみは自分だけのものだ。他人に推し量ることは出来ない。

でも、それを他人に押し付けんじゃねぇ。

そんな権利があるものか。誰にも。

「おら立て!さっさと部屋から出ろ。そりゃ確かに世間は厳しいがな、でもお前が思ってるほど地獄でもねぇよ!」

「や、やめっ…。離せ!」

「抵抗すんじゃねぇ!暴れんな!何でヒキニートの癖にそんな力強いんだよお前!」

そんな力があるのなら、外で活かせよ!

俺はがっちりとグリードの胸ぐらを掴み、ずるずると引きずって部屋の外に放り出した。

よし。

「これで今日からお前も脱ひきこもり…」

と、言いかけたそのとき。

「キュレムさん!」

ルイーシュが、咄嗟に杖を振った。