俺は13歳の頃、イーニシュフェルト魔導学院を受験することになった。

俺にはそれなりの才能があるし、イーニシュフェルト魔導学院で通用するだけの素養は充分にある…と、思われていた。

イーニシュフェルト魔導学院に入れば、将来は安泰だ。

当然俺は合格するものと思われていた。

俺もあの頃は、周囲におだてられて自惚れていたから、自分ならきっとイーニシュフェルト魔導学院にも合格出来るものだと信じていた。

その為に毎日必死に、寝る間も惜しんで、遊ぶ時間もなく、食事の時間さえ削りながら勉強し、魔法の訓練をした。

皆が俺に期待し、俺を愛してくれるのは、俺に才能があるからだと知っていた。

大丈夫、俺には才能がある。誰からも認められる実力がある。

だから、必死に努力して頑張れば、イーニシュフェルト魔導学院にも入学出来る。

俺なら、俺には出来るはず。

ちゃんと努力すれば大丈夫。

そう信じて、惜しみなく努力し、受験の日を迎えた。

…の、だが。

残念ながら、俺はイーニシュフェルト魔導学院には合格出来なかった。

出来なかったと言うか、そもそも試験会場にすら行けなかった。

毎日あんなに勉強して、あんなに努力したのに。

いや、むしろ努力し過ぎたのだろうか？

俺は試験の当日、酷い熱を出して、ベッドから起き上がることも出来なかったのである。