そして。

「やぁ二人共。揃ってるね」

そのとき補習の補習を担当したのが、学院長であった。

いや、補習じゃなかろうといつも学院長なんだけど。

あ、学院長…。今日は素なんですね。

二人共、ってことは、補習の補習は俺達二人なのか…。

「さて、それじゃ早速始めよっか。まずは炎魔法の復習から」

「…はい」

と、言われて始まった補習の補習授業。

俺は相変わらず、ポンコツな魔法しか使えなかった。

で、一方のルイーシュは。

この人も補習の補習に呼ばれるくらいだから、多分あんまり上手ではないのだろうと思われたが…。

実はルイーシュが補習の補習に来たのは、そういう理由ではなかった。








「うん、ルイーシュ君良い感じ。上手だよ」

「はぁ、どうも」

意外なことに、ルイーシュは大層上手だった。

と言うか、学年でもトップクラスなんじゃないかというくらい優秀だった。

お前、何でここにいるの?

ここ、補習の補習授業だよね?エリート生徒の特別授業じゃないよね?

「あんた…何でここにいるの?」

俺は純粋な疑問を口にした。

聞かずにはいられなかった。

「え?それは…補習授業まともに出席しなかったからです」

「は!?じゃあ…試験に受からなかったのは?」

「あぁ…俺、眠かったんですよ。あの日…」

「!?」

そんな…適当な理由、アリなのか。

「ルイーシュ君ねぇ、実力はあるのにやる気がないものだから、いまいち成績が上がらなくて…。やる気出してくれたら良いんだけどなぁ」

と、呆れ顔の学院長。

「はぁ、済みません。やる気ってのが蛇口捻って出てくるものなら、いくらでも出したんですけどね…」

「あはは…。本当にねぇ」

和やかな二人の会話に、俺は目が点になった。

…何それ?

つまり、ポンコツなのはやっぱり俺だけってことじゃないか。