俺がイーニシュフェルト魔導学院に入学することが決まった、と。

初めて知ったときの、うちの家族の反応と来たら、それは面白いものだった。

もしイーニシュフェルト魔導学院に呼ばれるとしたら、優秀な長男に違いない。

そう思い込んでいた家族は、呼ばれたのが長男ではなく次男だと聞いて、顎が外れるほど驚いた。

まさか。弟の方が?兄貴じゃなくて?

何かの間違いではないのか?

何度も何度もそう聞いて、いや間違いない、弟だ、と何度も何度も確認して。

本当に呼ばれたのが弟なのだと知ってからは、イーニシュフェルト魔導学院の学院長は何を考えているのか、と訝しんだ。

優秀な兄ではなく、凡人以下の弟を選ぶとは。

一体あの学院長は、何を考えているのだろう。

本当は見る目がないんじゃないか?

誰一人、実は俺には才能があったんじゃないか、とは言わなかった。

伸び代があるとか言われて、天狗になってるのかもしれないが。

お前みたいな凡人は、イーニシュフェルト魔導学院に行ったって、恥をかくだけだ。

両親からは散々そう言われたし、出戻りなんて恥ずかしいから帰ってくるなとも言われた。

どうせお前なんて、何でお前が、お前みたいなのが、等々。

耳にタコが出来るほど繰り返し言われながら。

そして、兄貴の恨めしげな視線を、痛いほどに感じながら。

俺は、王都に旅立った。