グリード・テラダスが、引きこもりニートであることが発覚した。

成程、お母さんがやつれてる訳だよ。

引きこもりの息子に、随分と手を焼いているらしい。

「一体いつから、ひきこ、いや…部屋から出られなくなったんですか?」

「…高校の頃からです」

「ニート歴十年越えですか。歴戦の勇者ですね」

「ルイーシュちょっと黙ってようか」

言いたいこと何でも言い過ぎだから。

何だよ歴戦の勇者って。

「何か、きっかけは?」

「きっかけ…」

「何もないのに、ある日いきなり部屋から出られなくなるってことはないでしょう」

多分、何かきっかけがあったのだ。

引きこもるようになってしまったきっかけが。

それはもしかして…。

「…いじめを受けてたんです。中学生のときに」

…やはりか。

「それがきっかけで…。…済みません…」

「いや、別にお母さんが悪い訳じゃないんで…」

あの五人が悪いんだろう?いじめてた奴らが。

「中学校を卒業してから、高校にも上手く馴染めなくて…。学校に行かなくなって…」

「…」

「それ以来、今でも外に出られなくて…。…済みません…」

「…もう謝らなくて良いですよ」

あなたが悪い訳じゃないんだからさ。

いちいち語尾に済みませんつけなくて良いから。

「誰も外に連れ出さなかったんですか?」

「…何度も『外に出てみよう』とは言いました。少しだけでも、って…。でも…」

…駄目だったのか。

「無理矢理引きずり出す訳にもいきませんから…。それで…。…済みません」

「はい、済みません入りましたー!」

やめろルイーシュ。

挙げ句。

「引きずり出せば良いじゃないですか。何が怖いんです?ニート馬鹿息子なんて、丸腰でケツ蹴っ飛ばして締め出せば、嫌でも働くようになるでしょう」

と、暴論を吐く。

いや、そりゃそうなのかもしれないけどさ。

「そ、そんな乱暴なことは…。あの子だって苦しんでるんですから…」

「苦しむ?随分元気一杯に苦しんでるんですね。ほら」

ルイーシュは、グリード母の服の袖を、強引に捲った。

突然のことで、グリード母は隠す暇もなかった。

グリード母の腕には、殴られた痕がいくつも残っていた。

…わぁお。

「母親をぶん殴る元気はあるのに、外に出る元気はないんですか。随分都合の良い息子さんですね」

「…済みません…」

「はい、済みません二丁!」

「…ルイーシュ」

やめんさい。

しかしこれ…。何と言うか、面倒なことになってきたな。