──────…グリード・テラダスの家は、すぐに見つかった。

中学校の名簿に書かれていた住所に、今も住んでいるらしい。

在宅だったら良いのだが、とルイーシュと二人で訪ねると。

家の中から出てきたのは、疲れ果てた顔の中年のおばさんだった。






「…は?いるけど会えない?」

「はい、済みません…」

グリードさんはいるか、と聞くと、この返事だった。

いますけど、会えません、と。

「それはまた…。何か…ご病気で?」

体調が悪くて、来客に対応出来る状態ではないと。

もしそうだったら、容疑者からも外れかねないが…。

「いえ…。済みません…。そうではないんですが…」

「え?じゃあどうして…?」

一応警察から委託されてる捜査だから、余程のことがない限りは応じて欲しいのだが?

「あの子、もう何年も部屋から出なくて…。人にも会いたがらなくて…。済みません…」

「…」

…それって。

「定職にもついていなくて…。外出も出来ずに…。済みません…。見ず知らずの相手だと聞けば、絶対に会わないと思うので…。済みませんけど…」

「つまり、引きこもりってことですか?」

ルイーシュ容赦ねぇな。

俺も思ったけど、ズバッと言い過ぎ。

「ひ、引きこもりって…。別に引きこもってる訳じゃないんですよ。ちょっと、外に出るのが苦手なだけで…」

「でも引きこもってますよね?」

「そ、それは…。…済みません」

「あなた、済みませんって口癖なんですか?」

…ルイーシュ、あのな。

思ったことを全部口に出すの、やめような?