朝食の後。

面倒臭がるルイーシュを宥めながら、俺達はシャネオンの警察署に向かった。

聖魔騎士団に協力要請してきたのは、このシャネオン警察だからである。

学院長逮捕のときのアレがあるから、いまいち警察って信用ならないんだけど。

しかし意外なことに、シャネオン警察は非常に友好的であった。





「どうも。聖魔騎士団魔導部隊から派遣されて来ました。キュレム・エフェメラルです」

「同じくルイーシュ・レイヴン・アルテミシアです」

魔導師なんて、と嫌がる人は多いのだが。

シャネオン警察の警察署長は。

「いやぁ、本当によく来てくれました」

ツルツル頭の署長は、にこやかに握手を求めてきた。

ルイーシュの視線が、署長の後頭部に注がれていた。

見るな。

「遥々王都から、ご苦労様です。王都に比べると、こちらは暖かいでしょう」

「えぇ、まぁ」

暑いくらいだね。正直。

「時間があれば、シャネオンを案内して回りたいところですが…そうも言っていられない状況でして…」

「そうでしょうね」

「早速、本題に入らせてもらいます。こちらで何が起きているのかは、ご存知ですか?」

ご存知…でない訳でもないが。

「詳しくはあまり…。四人の男性が行方不明になってるんですよね?」

「…はい」

ほとほと困り果てている、という顔で俯く署長さん。

すると、ルイーシュがとんでもないことを言い出した。

「…こういうときって、実は犯人は署長…とかいうドラマ的な展開がありますよね」

「は?」

「…ルイーシュ。お前ちょっと黙ってろな」

勝手に犯人にしてやるな。署長ぽかーんとしてるじゃないか。

「済みませんね…。気にせず話を続けてくださいね」

ルイーシュの爪先を踏んづけながら、俺は笑顔で装った。

マジもう。ルイーシュ本当馬鹿。