「ったく、ようやく平和になったぜ…。大変だったー」

「大変だったって…。キュレムさんあなた、大して何もしてないじゃないですか」

「何をぅ!失敬な!ちょっとは何かしたよ!」

ちょっとって。自分で認めるのか。

まぁ、一緒にシルナの面会についてきてくれたよな。

うん。ちょっとは何かしてる。

確かに色々立て続けに起こり過ぎて、近頃は大変だった。

吐月の一件もあったし。

で、今回のシルナ逮捕事件。

もうしばらく、厄介事は御免だな。

シルナも、「久々にゆっくり出来る~」って煎餅とお茶啜ってたもん。

おっさん通り越して、最早おじいちゃんだな。

あれはもう老けてくばっかりだよ、これから。

老人の相手をするのも嫌なので、こうして聖魔騎士団の方に顔を出したのだが…。

そこに。

「羽久さん。あなたにお客さんが来てますよ」

「んぁ?」

聖魔騎士団の部下の一人が、俺にそう声をかけた。

…客?

「誰?」

「入隊希望者みたいなんですが…。何故かあなたの部隊に入りたいとご指名で…」

「俺の…?」

そう言われても…俺は聖魔騎士団でも少々ややこしい立場に置かれているから、指名されても困るのだが…。

ってか、俺を指名って、誰?

「何々?羽久モテんな~」

「うわー。キュレムさん下衆…」

「下衆で悪かったな!」

別にモテてる訳ではないだろ。

「分かったよ。とにかく会ってみるよ」

部下に案内されてついていった先にいたのは。

大きなトランクと、片手に杖を持った…。

「は…!?クュルナ…!?」

「羽久さん…。お久し振りです」

一週間ぶりに見るクュルナが、ぺこりと頭を下げた。