何で…こんなことになったんだろう?

誰もいなくなった故郷で、私は一人、そう考えた。

ここにはもう誰もいない。

私が殺したから。

私が、こんな化け物を甦らせる為に、皆の命を使ってしまったから。

そうまでして生き返らせた化け物もまた、私の魔法で殺され、今は物言わぬ屍になっている。

…何で、こんなことになったんだろう。

そんなものは、決まっている。

私に…なまじ、力があったから。

私に力がなければ、誰も私に期待しなかった。

私が魔法を使えなければ。

私も、彼女を生き返らせることが出来るかもしれない、なんて考えなかった。

いや、そもそも…魔法なんてものがあるから。

人智を越えた力を、人間が手にしてしまったから。

魔導師なんて種族が存在するから。

不可能を可能に出来る力があるから。

こんなことに。

「…うぅ…」

私は杖を折り、投げ捨てた。

私がこんな魔法を使ってしまったばかりに。

こんなの…誰も…彼女も…私も…望んではいなかった!

「うわぁぁぁぁぁ!」

私の泣き叫ぶ声を、聞く者はもう誰もいなかった。



















それ以来、私は魔法を、魔導師を憎むようになった。

もう二度と、私のような過ちを犯さないように。

魔法のせいで、苦しむ人がいないように。

魔導師の身でありながら、魔導師排斥論者になった私のもとに。

「それ」がやって来た。