…。

…昔。

昔…私には、幼馴染みがいた。

幼馴染みであり、女友達であり、そして親友だった。

彼女は里の長老の孫娘で、しがない農民の娘であった私とは、身分に大きな差があった。

しかし、彼女はそんなこと、ちっとも気にしなかった。

私達はよく、谷の向こうにある二人の秘密の場所…花の咲き乱れる野原…に行って、一日中でもお喋りして過ごしたものだ。

あとは、そこで花冠を作ったり、花の蜜を吸ったり。小川で水遊びをしたり。

本当に仲が良かった。私は彼女のことが大好きだった。

でも、死んだ。

あまりにも唐突な死だった。

彼女は薬草を取りに森に入って、帰ってこなくなった。

里の皆総出で三日三晩捜索し、山の中腹にある湖で、水死体となった彼女が見つかった。

生きていれば、私の魔法で助けることも出来ただろうに。

死んでしまっていては、もうどうすることも出来なかった。

私は彼女の死体を前に呆然としたが、里の皆も同じくらい嘆き悲しんだ。

彼女は優しく、親切な人柄から、里の誰からも愛されていた。

でも、そんな彼女も死ぬときはあっさりと死んでしまった。

もし私が、彼女についていっていたら。

そう思うと、悔やまれて仕方なかった。

そんなときに、誰かが言い出したのだ。

「魔法で、彼女を生き返らせることは出来ないか」と。