「君が私を陥れたいのは分かった。でも…残念ながら、それは上手く行かないよ」

「…」

「…この通り、有り難いことにこう見えて人望は厚い方でね」

羽久も、シュニィちゃんも吐月君も。

私を無罪と信じて疑っていない。

だからこそ、そうして証拠品の穴を見つけてきてくれた。

かなり狡猾な手段を使ってはいたが…相手が悪かったな。

「君は、相当高度な魔導師じゃないかな」

魔法で仮面を作って素顔を隠したり、普通の本を禁書に偽装したり。

うちの生徒達や、図書館職員の記憶を改竄したりもした。

そんなことが出来る魔導師は、ルーデュニア聖王国でも限られる。

それだけ優秀な魔導師が、何故魔導師排斥論者になったのか…。

「…自分も魔導師で、魔法を使うのに…君は何故、魔導師を憎む?」

「…それは」

何か、理由があるはずだ。

魔導師を…魔法を憎むようになったきっかけが。

「聞かせてくれないかな。…君は、何を抱えている?」