次は、吐月君だ。

「それからもう一つの証拠…。生徒の証言ですが、それも信憑性がなくなりました」

「…どういうこと?」

私は禁忌の魔法の授業なんて行ってないから、元々生徒の証言に信憑性があるはずはないのだが。

「証言をした生徒一人一人に話を聞いてみましたが、彼らは授業を受けたと証言をしている日時は一致しているものの、証言した生徒のうち何名か、その日時に別の場所にいたという記録が残っています」

吐月君は、訓練場の使用記録を、印籠のように掲げた。

「授業と受けたという×月×日の放課後、この生徒は訓練場を使用しています。少なくともこの生徒に関しては、証言の信憑性が疑われますよね?」

「…それは…」

ますます眉間に皺を寄せる元担当官。

「それだけではありません。禁忌の魔法について授業を受けたとされる日時、本当にそんな授業を受けたのかと問い詰めると、全員が曖昧な返事をして、確信が持てなくなっていました」

シュニィちゃんが図書館で話した職員と同じってことか。

成程ねぇ。

これで、彼女がどんな手段を用いて「証拠」を作ったのかが分かった。

「これだけ証拠に不審点があれば、有罪にするのは難しいのではないですか」

「…何故…証言した生徒が分かった?」

「それは…。…今は関係ありません」

吐月君…。

どうやら私の無罪を証明する為に、かなりの無茶をしてくれたらしいな。

シュニィちゃんもだ。きっと危ない橋を渡ってきたのだろう。

私の教え子達が、私の為にここまでしてくれたとあっては。

私も、黙ってはいられないな。