「…では、レティシアさん。あれから、警察が押収した禁書を見せてもらう機会はありましたか?」

「いいえ、ありません」

「なら、図書館スタッフは誰も、盗み出された禁書を確認していないんですか?」

「いえ。魔導書フロアで働いている私の同僚か、警察に呼ばれて、確かにうちに所蔵されている禁書だと確認しているはずです」

…やはり。

「それが何か…?」

「…その同僚の方は、魔導師の方ですか?」

「いいえ。魔導師ではありませんが…。でも、魔導師を両親に持つ方で、基礎魔導理論は一通り熟知しています」

レティシアさんと同じ、ということか。

魔導書の扱い方を知っている一般人。

そうでもないと、禁書を見ても、それが禁書だと分からないだろうからな。

「…その方と会わせてもらうことは出来ますか」

「…疑ってるんですか?」

レティシアさんにとっては、同僚を疑われているも同然。

気分が悪くなるのは当たり前だ。

しかし。

「ただ、確認したいことがあるんです。私も先程、警察が押収した禁書を見てきましたが…あの禁書は…」

「…!」

私がそれを話すと、レティシアさんは、驚きに目を見開いた。

とにかく、これで学院長の無実は確定したと言って良い。