Iさんだけではなかった。

資料に名前が載っていた生徒を、順番に呼び出して話を聞いてみたところ。

彼らは皆同じような話をし、そして俺が「本当にその日に授業を受けたのか?他のことをしてなかったか?」と尋ねると。

全員が、Iさんのように混乱し、戸惑い、自信をなくして、答えられなくなった。

これで、ハッキリした。

授業は、本当に行われていた。

ただし、生徒の記憶の中でだけ、だ。

シルナさんを罠に嵌めた犯人が、生徒を選んで、偽物の記憶を刷り込んだのだ。

そうと分かれば、じっとしてはいられない。

捕まる前に、この話を羽久さん達にしなくては。