──────…その日、授業を受けていた真っ最中に。

羽久さんが、重々しい顔で教室に入ってきた。

そして告げられた。

たった今、この時を以て、イーニシュフェルト魔導学院は一時的に閉鎖されることになったと。

生徒達は、全員学生寮に戻るように、と。

俺も、他の生徒達も驚いた。

そして、俺は怯えた。

事態がここまで深刻化してしまったのかと。

羽久さんの顔を見れば分かった。

俺達学生は、不安の面持ちで学生寮に戻った。

だが、当然大人しくなんてしていられなかった。

生徒達は学生寮のエントランスに集まり、各々不安を口にした。

「なぁ、俺達これから、どうなるんだよ?」

一番多いのは、その質問だった。

誰も答えられないし、未来でも分からなければ答えなど誰も知り得ない。

こんな質問、口にしたところで時間の無駄でしかない。

それでも、誰もが誰もに尋ねずにはいられなかった。

俺でさえ、口には出さなかったものの、同じことを考えていた。

俺は、これからどうなるのか?

いや、俺のことなどどうでも良い。

どうせ拾われた命だ。償えないほどの罪を背負う身だ。俺一人がどうなろうと、大した問題ではない。

でも、イーニシュフェルト魔導学院は。シルナ・エインリー学院長は違う。

これらは、絶対に失われてはならない。

それに。

「故郷に返されるのかな…?」

「えぇ、そんなの困るよ。苦労して合格したのに、今更地元の魔導学校になんて帰れない」

「そうだよ。イーニシュフェルトに来れば、将来は安泰だと思ったのに…」

生徒達は、口々に不安の言葉を並べた。

…ここに通っている生徒は、国内でも選りすぐりのエリートだと聞いた。

この国にとっては大切な財産であり、将来、俺のような犯罪者を止める為に重要な人材になる。

人の未来を奪った俺の未来などどうでも良い。でも彼らの未来は、守らなければならない。

その為に、この学院は不可欠だ。

例え俺が身を呈してでも、シルナさんと、この学院は守らなければならない。

ならば…俺がやるべきことは、何だ?