「まぁ…聞き入れられる訳がないよなぁ…」

私の必死の訴えは、一笑に付されて終わった。

どれだけ食い下がろうとも、話を変えられ、いつもの無意味な尋問に戻された。

冗談でもないし、企みがある訳でもないんだけどな。

…本当に国が滅びないと、分からないのかもしれない。

私が…何を飼っているのか…。

「…稀代の犯罪者…ねぇ」

そりゃ確かに、私は紛れもない大悪党だ。

だから否定のしようがない。

でも、彼らは詰めが甘い。

本当に私が大悪党なら…。

「人間ごときに捕まるような…下手をするはずがないじゃないか」

私はそう呟いて、またあの子のことを思い出した。

私がいなくて、無事なら良いのだけど…。

もし私が傍についていないときに、あの子が目を覚ましてしまったら…。

私は、この国を守れるのだろうか?