「忌々しいイーニシュフェルト魔導学院の学院長は捕らえた。証拠も私が作った。人間ならば、あれで騙せるはずだ」

その通り。

イーニシュフェルト魔導学院、学院長の逮捕事件。

これは、全て私達が仕組んだものである。

シルナ・エインリーは生徒に禁忌の魔法など教えていないし、危険思想の持ち主などでもない。

しかし、あの男を無力化するには、このような手段を取るしかなかった。

正面から戦いを挑んだところで、私の勝てる相手ではないのだから。

シルナ・エインリーを有罪にする為に必要な「証拠」は、全て私の協力者…カオスが捏造してくれた。

素人の人間なら、まず疑われないだろう。

しかし。

「急がなければ、生徒の『証言』と『物的証拠』が偽造であることが露見する。早いところ、学院に手を回した方が良いぞ」

「…分かっています」

所詮は付け焼き刃の証拠。見る者が注意深く見れば、証拠が偽物であることはバレてしまう。

そうなれば、折角の苦労が水の泡だ。

何の為に、あの男を学院から引き離したのだ。

「…早急に、イーニシュフェルト魔導学院を亡き者にしましょう」

全ては…この世界から、魔法をなくす為に。